油のはじめ方〜胆汁生理学〜

油と胆汁の正しい関係

「油は体に悪い」と思っていませんか?実は、油を長く控えすぎると、消化の要である“胆汁”の分泌が減り、
いざ、良い油を摂り始めても、うまく消化できずに不調を感じる人が多いのです。最近流行りの脂質制限や四毒抜きで調子よくなってる方もたくさんいますが、中には体調が悪くなっている方もいるということを頭の中に入れておきましょう。

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“油と胆汁の生理学”を5つのポイントで解説

①胆汁の正体と役割
胆汁は、肝臓で作られ、胆のうに蓄えられる「消化液」です。主成分は胆汁酸(bile acids)で脂質を乳化(細かく分散)させることで、膵リパーゼ(脂質分解酵素)が働きやすくなります。簡単に言えば、胆汁がないと油は吸収されない。油の摂取量に応じて、十二指腸からコレシストキニン(CCK)というホルモンが出て、胆のうが収縮して胆汁を放出します。

②通常の胆汁の分泌量
健康な人では、肝臓が1日およそ0.5〜1リットル(500〜1000ml)の胆汁を作ります。
体内の胆汁酸プール(約2〜4g)は腸と肝臓の間を1日4〜12回再循環しています。つまり、総合的には30g前後の胆汁酸が1日中使い回されている計算です。食事のたびに胆汁が放出されるため、脂質摂取のリズムが胆汁の循環を維持しています。

③油を控えると胆汁はどうなる?(消化の老化?)
長期間、脂質を控えると脂質刺激が減るため、胆のうがあまり収縮せず、胆汁が滞留しやすくなります。この状態が続くと、胆汁酸の合成も減少し、結果的に胆汁分泌量は通常の約半分(250〜500ml/日)に低下する可能性。絶食やファスティングが長期化すると、100〜300ml/日まで落ちることもあるかもしれません。(推定)


つまり、「油を控えるほど胆汁も作られなくなる」というのが生理学的な現実といえます。

④油を再開するときの注意点
胆汁分泌が減った状態で急に多くの油を摂ると、消化が追いつかず、胃もたれ・下痢・脂肪便などの不快症状を起こします。このとき重要なのは、“良い油”を少量ずつ慣らすこと。具体的には、オリーブオイルやココナッツオイルなどの消化吸収が良い油を小さじ1/2〜1(約2.5〜5ml)からスタートし、体の消化能力・胆汁分泌に合わせてゆっくり増やしていく。これは実際の消化生理に沿った非常に合理的な方法です。

⑤油を摂るメリットと胆汁との相互関係
適度な脂質摂取は
✅ホルモン(性ホルモン・副腎ホルモン)の原料
✅細胞膜や脳の構成成分
✅脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収促進
に不可欠です。また、脂質摂取が胆汁分泌を刺激し、胆のうの健康維持・胆汁うっ滞の予防にもつながります。つまり

「良い油を適量摂ること=胆汁を健康に保つこと」なのです。

💡まとめ

油を控えすぎると、胆汁分泌が落ちて消化力も低下します。いきなり大量に油を摂るのではなく、小さじ1/2から慣らす。これは科学的にも、生理学的にも理にかなったステップです。“油=悪”ではなく、“使い方がカギ”です。胆汁を味方につけて、健康的に油を摂っていきましょう。

胆汁について🔗

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK470209

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2811459

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