🔑タンニンでは貧血にならない
タンニンと鉄の吸収阻害
・加水分解性タンニンと縮合型タンニン
タンニンには加水分解性タンニンと縮合型タンニンの2種類があります。食品に含まれるタンニンの多くは縮合型タンニンであり、これが鉄吸収に与える影響は加水分解性タンニンと異なる可能性があります。
・疫学的証拠の欠如
高タンニン食を摂取する人々が必ずしも鉄欠乏になるという証拠はありません。*これは個々の食事パターンやその他の栄養素の摂取、鉄の供給源の違いなど、多くの要因に影響されます
例えば、赤ワインにはタンニンが含まれますが、これを多く摂取する国(フランスやイタリア)は日本よりも貧血の人がとても多いかと言ったらそうではありません。一般的な情報を元にすると
赤ワインの摂取量が多い=貧血のリスクが上がる
はずですが、真実はそうではありません。情報と実際起きていることは違うということですね。基本的な栄養学の理解として、貧血はタンニンが関係しているのではなく、どんな食材から鉄分を摂取するかというところに依存すると考えた方が損はないし、間違いないでしょう。
このタンニンについてはサロンメンバー限定記事でも詳しく記したいと思います✍️
非ヘム鉄とヘム鉄
鉄分の種類
1.ヘム鉄
主に動物性食品(肉、魚、甲殻類)に含まれ、吸収率が高い
2.非ヘム鉄
主に植物性食品(豆類、野菜)に含まれ、吸収率が低い
タンニンと鉄分の吸収
タンニンは、特にお茶やコーヒー、ワイン、あるいは一部の果物に含まれるポリフェノールの一種です。
1.非ヘム鉄の吸収への影響
タンニンは、非ヘム鉄と結合して不溶性の複合体を形成し、腸内での鉄の吸収を妨げます。このため、非ヘム鉄の吸収率が低下します。具体的には食後にお茶やコーヒーを摂取することで、非ヘム鉄の吸収率が40〜70%程度低下することが報告されています
2.ヘム鉄の吸収への影響
ヘム鉄は、非ヘム鉄と異なり、腸内で特定の輸送体を介して効率的に吸収されます。このため、タンニンがヘム鉄の吸収を妨げることはほとんどありません。研究によれば、ヘム鉄の吸収は主にタンパク質やペプチドの存在によって影響を受けるため、タンニンの影響は無視できる程度です。
結論
タンニンは非ヘム鉄の吸収を妨げますが、ヘム鉄の吸収にはほとんど影響を与えません。貧血リスクを最小限に抑えるために、ヘム鉄を含む食品の適切な摂取が重要です。スクール生の限定記事ではさらに詳しい解説を記したいと思います🎓
参考リンク
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9219084
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0002916523318975